コラム, 電子カルテ

スキャナでコスパの良いデジタル化

診療所/クリニックにおける業務効率を上げる方法としてデジタル化があります。
しかし医療においてはどうしても紙というものは残ってしまいます。全てをデジタル化しようと思うといろんなシステムが必要になり非常にコストが高くなってしまう、なんてことにもなりかねません。

今回は、そんなデジタル化に悩む医療機関にとって、「どうやったコストパフォーマンス良くデジタル化出来るのか?」というテーマで、少し書いてみたいと思います。

完全ペーパーレスにこだわると…

開院当初から電子カルテを導入している診療所の場合は、そのシステムを中心としたワークフローとなり、極力紙の使用を少なくすることを心掛けた運用が行われています。一方で、開業後しばらくしてから電子カルテを導入した診療所では、多くの情報がまだ紙で残っているため、完全にペーパーレス化が実現していません。

また、電子カルテを導入した医療機関でも、実は紙のまま運用した方が効率的なのにもかかわらず、無理に「ペーパーレス化」にこだわってしまうことで結局効率が良くない運用をしているケースも見られます。

スキャナの活用

そこで有効なのが「スキャナ」の活用です。従来の小型スキャナは1枚スキャンするごとにふたを開閉して動かす製品が一般的でした。しかし、最新のスキャナはオートシートフィーダを搭載した連続スキャンを実現しています。そのため場所ごとにスキャナを設置して、現在保有している紙情報をデータ化することが可能になりました。また、シワがよった紙やプラスチックの保険証など硬く厚い素材もそのまま読み取れるスキャナも出てきました。完全ペーパーレスとはいかなくても「少しでも紙を減らしたい」と考える診療所に対しては最新のスキャナを導入することをお薦めしています。

検査機器を買い替えずにスキャナを活用してコストダウン

また古い検査機器は、プリントアウトしか出力方法がない場合も少なくありません。そのため、電子カルテや画像ファイリングと連動させるためにプリントアウト以外のデータ出力が必要という理由から、まだ使えるにもかかわらず検査機器をわざわざ買い換えるケースがあります。高速スキャナを利用すれば、ほとんど手間なく電子カルテや画像ファイリングとの情報連携が可能になります。検査機器を買い換える費用を考えると、大幅なコストダウンを実現できるといえるでしょう。

データ管理は2次利用するかどうかがカギ

それでは、どんな情報をスキャナで取り込むと効率的でしょうか。その運用に当たっては、データを2次利用するかが重要になります。2次利用する可能性が高い情報は、他のシステムとデータ連携が可能な状態で取り込む方が良いのですが、2次利用の可能性が低い情報に関しては紙のまま出力して、画像データとして取り込む方が効率的なのです。

そうすることで、システム間連携にかかる費用が抑えられ、コスパが良くなるのです。その他、患者が記入する「問診票」や他院からの「紹介状」、紙カルテのサイドポケットに入れていた紙情報などをスキャナで取り込むと非常に便利になると感じます。

過去カルテのデジタル化

電子カルテを導入した既設の診療所が、その取り扱いに一番悩むのが「過去の紙カルテ」です。この場合でもスキャナを利用することで、その後の運用がスムーズになります。ただここで考えてほしいのは「労力をかけて、全部の過去カルテをスキャンする必要があるのか」という点です。全ての情報をスキャンしても結局活用しないのであれば、IT化することで効率的になったとはいえません。必要な情報を絞ってスキャンした方がコストも労力も抑えられます。

例えば、よく来院する患者をピックアップしたり、慢性疾患の患者で特に閲覧頻度が高い初診時のカルテ、症状や治療法を変更した場合などのカルテに絞れば、スキャンする枚数(データ量)は少なく済みます。

IT化は完全を目指さないこと

IT化の重要なポイントは、「完全ペーパーレスを目指さない」ことです。デジタルの良さ、アナログの良さがそれぞれあります。すべてをデジタル化しようとすると、無理とコストアップが生じます。そこで、スキャナをうまく活用して段階的な導入を進めることも、医療機関のIT化を成功させる秘訣の1つだと思います。

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