スキャンビューア, 導入事例, 電子カルテ

王子病院様

紙カルテスキャンの運用を部屋完結型にシフト

王子病院様は、王子駅から徒歩5分のところにある病床数112床の病院です。昭和25年の開設以来、約60年間にわたり地域密着の都市型病院として、地域住民の医療ニーズに応えてきました。

導入時の課題 / 導入の背景

スキャンビューアシステムとの出会い

「レセプトコンピュータと紙カルテで長らく運用してきたため、紙カルテは膨大な量に上り、いずれはデジタル化しなければならないと考えていました。 「スキャンビューア」との出会いは、ある雑誌の記事を理事長が発見したことでした。 そこで、理事長はメディプラザに実際の商品を見学に行き、そこで詳細な説明を受け、紙カルテのデジタル化のイメージが湧いたとのことでした。 早速、院内に戻り、理事長はトップダウンで「スキャンビューア」の導入を決めたんです。」(斉藤事務長)

導入時は不安でいっぱい

「カルテビューアを理解してもらうのは本当に大変でした」と斉藤事務長

「いざ、「スキャンビューア」を導入する段階になると、現状維持が良いと考えるスタッフから少なからず抵抗がありました。 」(斉藤事務長)

スキャンビューアは、紙カルテをスキャナでスキャンすることで、デジタル化を図るシステムですが、カルテ自体はパソコンの画面で見るため、パソコンが苦手と考えるスタッフが難色を示したといいます。 「これは電子カルテではないと説明しても、なかなか理解していただけなかった。 理解してもらうのは本当に大変だった」と斎藤事務長は導入当時を振り返ります。

運用イメージ / システム構成

分散スキャニング

通常、スキャンビューアは各診療科で記載された紙カルテや画像情報などを、受付・会計で一元的にスキャンしますが、王子病院では「責任の所在を明確にしたい」という思いから、各部署でそれぞれ紙カルテをスキャンする仕組みをとりました。各部屋にスキャナを設置し、各部屋で一切を完結するようにしたのです。

紙カルテのころは、紙カルテの所在について、いつも医事課に問い合わせが入っていたのだそう。 斎藤事務長は「スキャンビューアを分散管理にして、医事課になんでもやらせる体質を変えたかった」と語ります。

スキャンビューア業務の流れ

現在、9つある診察室、2つのナースステーション、検査室にそれぞれにスキャナとスキャンビューアを設置しています。 カルテのスキャンは、各部屋にいる看護師が担当しているそうです。バーコード付きの紙カルテを印刷し、医師が記載し、それを看護師が紙カルテをスキャンする。その後、患者さんごとにきちんと仕分けできているか、画面で確認するという流れで運用しています。これまでのように、「紙カルテの倉庫からカルテを探し、医師のデスクにセッティングする」といったように、院内を飛び回ることが減り、業務の効率化が図れたという。

デジタル化されたカルテは、医事課で確認され、紙カルテ同様に、画面上でカルテを見ながらレセプトコンピュータへ医事入力が行われます。

導入効果

ナースステーションでも簡単に確認できる

iPadでもカルテは閲覧が可能

診察室でデジタル化されたカルテは、病棟のナースステーションでも患者IDを入力するだけで、簡単に閲覧することが可能。 「これまでは紙カルテを探しに行く時、よく誰かが使用中で、すぐに閲覧できないこともありました」と、導入前の様子を病棟の看護師さんが振り返って話してくれました。

一方、「スキャンビューア導入後は紙カルテを探したり運ぶことはなくなり、本当に楽になりました」と喜びの声もありました。

紙カルテからの改善点は?

これまでカルテの管理は医事課任せという体制から、「部屋完結型」にシフトした結果、責任の所在が明確になったといいます。

「紙カルテの保管場所が大幅に削減された。 しかも、これ以上紙のカルテは増えていかずに、どんどんそのスペースは拡大しています。また、各現場で責任をもってやっていただく体制も整いました。実際、紙カルテが行方不明にならなくなったことは大きいですね。」(斎藤事務長)

紙カルテの分散型のメリット

「病院職員の意識を変えるのに半年はかかりました。たとえば導入前は、スキャンビューアの研修会には部署の長だけがくるだけで、ほとんどの職員は仕事を優先して、研修に参加してくれなかったんです。 でも、カルテの管理を分散管理にしたことで、自分ができないとすぐに問題になるんですよね。 そのため、ぎりぎりになって火がついて操作をマスターしたと。」(斎藤事務長)

製品の感想や今後の展開・期待

スキャンビューアの導入は、2011年2月の打ち合わせから半年間の導入期間を経て、2011年6月から半年間の稼働期間が設けられました。 病院にとっても、メーカーにとっても、両者ともに「分散型」は初めてだったのでワークフローのすり合わせが大変でした。 導入後、数ヶ月はネットワーク環境などで問題が発生したものの、その都度、斎藤事務長が対外的な対処を、京葉電子工業がその間にシステム的な対処を行い問題を乗り越えてきました。いまでは安定した運用が実現できています。